加味逍遥散

目指せ保険収載148処方!
今回は、処方目です。
 
イライラ感を伴う女性のあれこれに頻用されている加味逍遥散です。
「女性」と記載しましたが、当然男性でも用いることが出来て、私もテスト勉強で勉強をしすぎたり、疲れが溜まってくるとイライラ感が募り、夜も興奮して眠れないということが多々ありました。そんな時に、一包飲むと、胸脇苦満がさり、胸のもやもやもたちまち消え去りました。
 
今回は、「加味逍遥散」を扱っていきたいと思います。
 
  • 加味逍遥散の概要
・日本では、産婦人科領域で桂枝茯苓丸・当帰芍薬散と並び頻用されています。
・特に、月経異常や更年期障害など、女性特有の症状に用いられています。
・体力があまりない人で、めまいや頭痛がするなどのほか、のぼせや発汗、肩こり、イライラ、不安、不眠など不定愁訴が目標となります。
 
・これに留まらず、上記の私個人例のように加味逍遥散は男女問わず、ストレスによる様々な心身の不調に使われています。
 
  • 名前の由来
・逍遥とは、きままにぶらぶら歩くこと
 逍遥遊:何者にも束縛されることのない自由な境地に心を遊ばせること。
 
 
  • 逍遥散と加味逍遥散
 
・逍遥散はイライラ感や緊張する精神状態をリラックスさせる効能があります。
・加味逍遥散は逍遥散に2つの生薬(山梔子・牡丹皮)が加えられている。
 
  • 出典
・逍遥散は、北宋の『太平恵民和剤局方』に記載されています。
・明代の 薛己(せつき)『薛氏医案』、龔廷賢(ぎょうていけん) 『萬病回春』において、逍遥散に山梔子と牡丹皮が加えられて加味逍遥散(丹梔逍遥散)になりました。
 
 
『太平恵民和剤局方・婦人諸疾篇』
「血虚労倦,五心煩熱,肢体疼痛,頭目昏重,心忪頬赤,口燥印乾,発熱盗汗,減食嗜臥,及び血熱相搏ち,月水調わず,臍腹脹痛,寒熱瘧の如くなるを治す。又室女血弱,陰虚して栄衛和せず,痰嗽潮熱,肌体羸痩,漸く骨蒸と成るを治す」
 
→訳:血虚、易疲労感、五心煩熱、身体が痛み、頭がぼんやりとして、目が眩み、胸騒ぎや心悸亢進し、頬が赤くなり、口や咽が乾燥し、発熱盗汗、食欲不振、横臥することを好み、月経不順となり、腹が張って痛み、マラリアのように寒気がした跡に熱くなったりするものを治す。また未婚の女性が血虚あり、痰や咳がでたり、潮熱があり、体が痩せて、やがて結核にでもなりそうなものを治す。
 
*血虚:血による濡養が不足する病証。顔色が蒼白・頭暈・目がかすむ・やせる・無月経・動悸・睡眠障害・手足のしびれ・舌質が淡・脈が細などがみられる。
*五心煩熱:両側の手のひら・足の裏および胸中に熱感があること。
*骨蒸:骨とは部位が深いことを意味し、熱が骨の髄から透発してくるように感じること。陰虚内熱でみられることが多く、同時に潮熱・盗汗・五心煩熱・呼吸迫促・心煩・睡眠障害・尿色が濃いなどを伴う。
 
曲直瀬道三『医療衆方規矩』「逍遙散に牡丹皮,山梔子を加えて,加味逍遙散と名づく,按ずるに,虚労,熱嗽,汗ある者に宜し,兼ねて,以て男子五心煩熱し,体痩せ,骨蒸(肺結核のときになる症状),婦人癩狂(てんきょう),月経調はざるに,加減を照し,間々之を治す」
 
 
浅田宗伯『勿誤薬室方凾口訣』「逍遙散の症にして,頭痛面熱肩背強ばり,鼻出血などあるもの佳なり。(中略)男子婦人遍身に疥癬のごときものを発し,甚だ痒く諸治効なきもの此方に四物湯を合して験あり」
 
 
香月牛山『牛山活套』「婦人の気悩、諸の解欝降気の剤を用いても愈がたき者には逍遙散に加減して用ゆべし」
 
日本の名医達も、加味逍遥散を上記のように駆使していたようです。香月牛山は、いろいろな気鬱の状態などで気を巡らす薬でなかな かうまくいかない時には加味逍遙散などを使うべきだといっています。
 
『Dr夏秋の虫の図鑑』でお馴染みの夏秋先生は「感情の起伏が激しい」は一つのポイントとおっしゃっていました。
 
また、抑肝散加陳皮半夏との鑑別について、
 
和田東郭は『蕉窓雑話』で「逍遙散は抑肝散の場合ほどには高ぶらず、 鬱してあるところゆへ只だ黙々としておる者なり」
 
と記しており、イライラはあるが抑うつ状態も併存した状態に良いのではないかと考えることができます
 
 
矢数道明先生は下記のようにまとめていました。
 
虚証体質で、特に女性に多く、神経症状を伴う諸疾患に用いる。主として更年期障害・月経不順・流産や中絶後に起こる諸神経症状に用いられ、また不妊症・尿道炎・帯下・失神・慢性肝炎・便秘症等にも応用する。
 
目標:四肢倦怠、頭重、目眩、不眠、多怒、逍遥性熱感、月経異常、午後の逆上感と顔面紅潮、肩こり、また背部に悪寒や蒸熱感、発汗を伴っているもの
 
  • 構成生薬
 
・柴胡
性味:辛苦味、微寒性
効能:疏肝解鬱、和解退熱
 
・当帰
性味:甘辛味、温性
効能:補血、活血止痛、潤腸
 
・芍薬
性味:苦酸味、微寒性
効能:補血、緩急止痛、収斂
 
・茯苓
性味:甘淡味、平性
効能:健脾、利水、安神
 
・白朮 あるいは蒼朮
性味:苦甘味、温性
効能:補気健脾、燥湿、止汗、安胎
 
・薄荷
性味:辛味、涼性
効能:散熱、清利頭目、疏肝解鬱
 
・生姜
性味:辛味、微温性
効能:発汗、温胃止嘔、温肺止咳、解毒
 
・甘草
性味:甘味、平性
効能:補脾、潤肺、咳止め、止痛、解毒など
 
・山梔子
性味:苦味、寒性
効能:清熱解毒、除煩
 
・牡丹皮
性味:苦辛味、微寒性
効能:清熱涼血、活血
 
  • まとめ
柴胡、薄荷:疏肝解鬱→肝気鬱滞
茯苓、白朮:健脾補気→脾胃気虚
当帰、芍薬:養血→血虚
生姜:胃腸を温める→脾胃虚弱
甘草:諸生薬の関係を調和する
 
*肝鬱気滞あるいは肝気鬱滞:
ーストレス等の原因で、肝胆の気の巡りが届こっている病理状態である。
ー症状としては、うつうつとして、いらいらいして怒りっぽい、胸が苦しい
 
・疏肝解鬱
ー疏:間が空いていること
   ひとつひとつ離れていること
 
*血虚とは、生命活動を常に支えている血液が十分に生産できない、または多量に消耗されたことで、その働きを十分に果たすことができなくなる病理状態である。
 
・症状として、血色が悪い、頭がふらつく、頭がぼーとする、目が疲れる、四肢のしびれ感、皮膚につやがない、動悸、眠りが浅い、多夢など
 
 
  • 中医学的に見た逍遥散
効能:疏肝解鬱、健脾養血
主治:肝気鬱結、脾虚血虚(肝鬱が一番)
①そもそも脾虚と血虚ある人が、ストレスなどの原因によって、肝気鬱滞が陥る
②ストレスによる肝気鬱滞が長引いて、また脾虚や血虚も出てくる状態
 
  • 適応症
・体力中程度以下
・肝気鬱滞:精神不安やいらだち、興奮、肩こりなどの精神症状、胸脇苦満と痛み有り、月経不順、月経痛、月経前症候群など
・脾虚:食欲不振、疲れやすい、下痢しやすい、ときに便秘の傾向
・血虚:疲れやすい、のぼせ感
 
  • 加味逍遥散と逍遥散の違い
逍遥散にからだの熱をとる牡丹皮・山梔子を足したのが加味逍遥散です。
逍遥散の適応症にほてり感が強く、興奮やイライラ感が強く熱感がある場合は加味逍遥散が適しています。
 
 

 *注意*

1ヶ月くらい服用しても良くならない場合は服用を中止してください。

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