どうも金沢の研修医1年目の華岡です。
昨日の名古屋での研修に続いて今日は東京での研修です。
昨日は名古屋での一見さんお断りの「おいしい」お寿司を食べ、非常に満足。
生まれも育ちも金沢で、金沢の寿司、刺身が一番だと思い込んでいましたがその信念も若干揺らぐほどの満足感です。
以前、名古屋を訪れた際に先輩にちょっと高級な居酒屋に連れて行ってもらいましたが、その時に食べたイカがおそろしくまずかったです。
その名古屋での印象を払しょくする会食となりました。
さて、昨日に引き続き、漢方の話です。
漢方と中医学の大きな違い
何度も言うように、漢方と中医学はルーツは同じですが、両者は異なったものです。
そもそも「漢方」という名前は、江戸時代にオランダから伝来した西洋医学、つまり「蘭学」に対して区別するためにつけられた名前です。
その一方で、中医学とは、中国伝統医学(英語ではChinese Traditional Medicine)、の略称で陰陽五行説に基づいたものです。
つまり、漢方は日本の伝統医学、中医学は中国の伝統医学です。
その漢方と中医学において患者さんに処方をする段階で大きな違いがあります。
それは、漢方では「方証相対」、中医学では「弁証論治」という方法を用いて患者さんの「証」を決定します。
証というのは患者さん個人の身体と心の状態を表すものです。
漢方の方証相対とは
漢方の方証相対では、経験的手法を用いて患者さんの症状に対応させて処方します。
具体的に説明するとは、205年に完成した傷寒論には以下のような記述があります。
「太陽病、項背が強張り、汗が無く、悪風は葛根湯を主る」
細かいことは抜きにして、このような症状をもつ患者さんには葛根湯を処方します。
これを葛根湯証と言います。
まとめると、症状から一対一対応で処方を決定するやり方です。
中医学の弁証論治とは?
それに対して、弁証論治は解剖生理学・病理学・診断学・薬物学・処方学・治療学の基礎の上に成り立ち、
疾病の症候から病因病機を解明し、それに対応した薬物学・処方学を駆使して治療を行う。
特に、病理学の中で、八鋼弁証や気血津液弁証や、臓腑弁証を用いる。
この病理学の考え方が方証相対とは大きく異なる。
方証相対ではこの病理学の考え方が不要なのである。
不要ではあるが、これが必ずしもマイナスの点ばかりではない。
前回の記事にも述べたように、日本では西洋医学の医師が漢方薬を用いて処方することができる。
日本では、病理学を不要としてブラックボックスになった部分に西洋医学を当てはめ、西洋医学的に考えて処方している。
結論
必ずしも、どちらが良いとか悪いとかの話ではないが、一つだけ注意する点とすれば、
新たに漢方をきっちり学びたい人は中医学の理論から学ぶことを強くお勧めします。
その理由としては3つあります。
1つ目は、日本は方証相対を推し進めた結果、理論となる病理学が無いため、他国との議論の手段が失われている状態です。
2つめは、処方への生薬の加減を行うには中医学の理論から学んだ方が理解が得やすいからです。
3つ目は方証相対は理論が無い分、経験やその人個人の力量がものを言うが、中医学では共通基盤があためある程度のレベルまでは引き上げることができます。
以上より、是非、学生のうちから漢方に興味がある方は理論から学びましょう。
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