基地はなぜ沖縄に集中しているのか

FBで流行っているブックカバーチャレンジをこちらでも投稿します。

NHK取材班著
『基地はなぜ沖縄に集中しているのか』
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 2020年の2月と3月に沖縄県本部町で地域医療研修をさせて頂いた御縁から、本日は沖縄を題材にしたこの本ご紹介いたします。

 研修中に訪れた離島・伊江島は青い海と空に、長閑な時間が流れ、ふと気がつくとと時速20kmで車を運転しているほどでした。島は自転車でも一日あれば周れる程の大きさで、人よりも牛のほうが多いそうです。
 この島の北部にはアハシャガマと呼ばれる洞窟が畑に隠れてひっそりとあります。漆黒の暗闇に心が吸い込まれるような洞窟でした。

 沖縄では第二次世界大戦で沖縄戦が繰り広げられました。伊江島はその激戦地であり、小さな島で千名以上の方が亡くなられたそうです。アハシャガマは、米兵の捕虜になるまいと集団自決をした時に出来た洞穴になります。そこでは、百名以上の白骨死体が見つかっています。

 本部町にも野戦病院跡があったりと、日常の中に戦争の跡が感じられます。新聞を開けば、戦争関連の記事が必ずあり、夕方のテレビでも戦争が一つの鍵となっていました。戦争の身近さに、それは、何とも言えないカルチャーショックでした。

 思いを返すと、私が生まれ育った内灘町では1952年に「内灘闘争」という出来事があったと小学生時代に習いました。これは、米軍の演習場として使用されていた内灘砂丘を、島民が団結して反対運動をして取り返したという歴史です。その内灘闘争が、日本全国の米軍反対運動の先駆けとなったと、この本を読んで初めて知りました。この瞬間に戦争や沖縄が、自身の生まれ育った内灘町と地続きになり、沖縄の歴史が自身の中で立ち現れたような感覚となりました。それは、主体的に沖縄を捉えることが出来るようになった瞬間でした。

 この本は、事実や証言を多角的に記述した本で、基地問題を時系列に比較的客観的に理解することが出来ます。そして、読書の際には基地が与える生活の影響を、沖縄の人々にフォーカスを当て、書かれた本を副読すると、バランスもよくなると思います。

 例えば、1冊目は沖縄の暴走族に仲間入りして聞き取り調査を元に書かれた打越正行著「ヤンキーと地元」や、2冊目は敗戦直後から沖縄で頻発した米軍兵士による凄まじい暴行事件への対応策として作られた売春街について記述した『沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち』です。そして、沖縄戦自身に踏み込む場合は『証言 沖縄スパイ戦史』も読み応えがあります。

<参考>
●千夜千冊1481夜 『基地はなぜ沖縄に集中しているのか』

https://1000ya.isis.ne.jp/1481.html

●打越正行「ヤンキーと地元」
●藤井誠二『沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち』
●三上智恵『証言 沖縄スパイ戦史』

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