どうも、華岡です。
今日からCPS(Clinical problem-solving)について私なりの理論とプロの推論を比較しながら進めていきたいと思います。
本日の論文は以下のタイトルです。
Stream of Consciousness, N Engl J Med 2018;378:1336-42.
意識の流れ(いしきのながれ、英: Stream of consciousness)とは、米国の心理学者のウィリアム・ジェイムズが1890年代に最初に用いた心理学の概念で、「人間の意識は静的な部分の配列によって成り立つものではなく、動的なイメージや観念が流れるように連なったものである」とする考え方のことである。
by ウィキペディア
西洋の考え方では、解剖学や生理学、薬理学などもホルマリンで固定したかのようなある時点を切り取った科学が発展してきました。
精神にたいする、考えもデカルトの「我、思う。故に我あり」に象徴されるように、2元論的に心と身体は切り離されて考えてきました。
東洋の中の日本に生きるわれわれにとっては、人間の意識が静的で配列されたようなものではなく、動的なイメージや観念が流れてるという考えは理解しやすいかと思います。
ですが、2元論的に精神と身体が考えられてきた西洋ではこの意識の流れの概念は新しいことであったのではないのでしょうか。
それでは本文
第一段落
初夏にニューイングランドの3週間の進行性の疲労感を示した65歳の男性救急外来を受診した。 彼は当初、適度な疲労と軽度の頭痛があり、姿勢によって頭痛は変わらず、朝に悪化し、非ステロイド性抗炎症薬の使用により痛みは低下したと指摘した。 その日のほとんどを眠り。 症状出現の数日前、忘れっぽくなり。、混乱していました。 いつもの仕事を終えることができず、言葉を見つけるのが難しかった。 彼は局所的な衰弱や感覚欠損、発熱、悪寒、体重の変化、ぼやけた視力、首のこわばり、吐き気、嘔吐、背痛、腸または膀胱機能の変化、胸痛、または息切れはない。 症状発症前に完全に調子はよく、最近、プライマリケア医師から高血圧の診断を受けていた。
ここからは自分の診断過程と、プロの診断過程を比較しながらお送りします。笑
推論
まず、普通の外来受診ではなく、救急外来に受診するということは少し緊急度合いや重症度があがるのかな。
そして、頭痛で救急外来というと気になるのは、クリティカルなもの。まずはこの死ぬ疾患の除外を徹底的に行いたい。
以下にその鑑別診断を挙げます。
・くも膜下出血
・髄膜炎
・側頭動脈炎
・緑内障
・高血圧脳症
・脳梗塞
・椎骨脳底動脈解離
・脳腫瘍
この患者さんでは、3週間の経過ですので、TROPは考えにくいでしょう。
Torsion : ねじれる
Rupture : やぶれる・・・椎骨脳底動脈解離、くも膜下出血
Obstruction : 閉塞・・・脳梗塞
Perforation : 穿孔
くも膜下出血では典型的なものでは何時何分に頭痛が起こったと言える。例えば「松井秀喜がホームラン打ったとき」みたいな感じです。
その他にも、3週間の経過から髄膜炎でも急性の細菌性のものは考えにくい。考えられるのは真菌や結核などの亜急性の髄膜炎でしょうか。
ですが、発熱、吐き気、後部硬直などがなくかなり可能性としても低いと考える。
3週間の経過でも側頭動脈炎は失明の危険性があるので、しっかり除外したい。ですが、感度の高い発熱の症状が無く、考えにくい。
緑内障発作も3週間の経過でしかも、精神症状のようなものまでは非典型である。
つまり、この鑑別の中では、
・亜急性髄膜炎
・高血圧脳症
・脳腫瘍
の3つがまだ鑑別診断としてあがります。
そして、まずバイタルサインを知りたい。
プロの推論
記載されている疲労および頭痛の増悪は、数週間にわたる認知の障害に進行しており、広範囲の頭蓋内または全身プロセスから生じることがある亜急性脳症と一致している。患者の病気の時間的経過は、虚血性脳卒中またはクモ膜下出血とあまり一致しないが、静脈洞血栓症、慢性硬膜下血腫、または高血圧性緊急事態がこのように現れる可能性がある。水頭症または頭蓋内腫瘍を考慮する必要があります。肝機能障害、尿毒症、電解質異常、チアミン欠乏、薬物乱用、投薬の副作用などの代謝の原因は除外されるべきである。頭蓋内膿瘍、梅毒、またはマイコバクテリア疾患は、伝染性疾患が風土病である地域への移動、遺伝または後天的状態による宿主応答の障害、または注射薬の使用など、関連する危険因子を有する患者における考慮事項である。時間経過、発熱の欠如、および首の硬直の欠如は、細菌性またはウイルス性の髄膜炎または脳炎を診断する可能性は低い。
プロの推論を受けての反省
クリティカルなものを除外する診断するプロセスは合っていたが、亜急性の経過で代謝異常による頭痛の可能性を一つも考えられていなかったです。
静脈洞血栓症や慢性硬膜下血腫がこのような経過になりうるとは驚きです。
その他の問診事項として、当然、既往歴、薬歴、アレルギー歴、家族歴、社会歴(タバコ、酒、仕事、薬物歴)、ROS(review of systems)を聴きたい!!
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