乳がん検診:UK Age trial

 予防は大事といいつつ、過剰になり過ぎるのも不安を煽る観点や、医療費の観点からも益は少ない。そのバランスの解を見つけるには、研究結果を丁寧におっていくことが先決でしょう。

 因みに乳がん検診については各自自体によって実施形態は異なっており、金沢市では以下のようでした。

乳がん検診の対象者(金沢市の例)

  • お勤めでない40~65歳の前年度乳がん検診未受診の市民の方
    健康診査受診券が届きます。
    医療機関(すこやか検診担当)で受診できます。自己負担は700円です。
  • 40歳以上で前年度乳がん検診未受診の市民の方
    成人病予防センター(検診実施機関)に予約の上、集団検診で受診できます。自己負担は500円です。

 厚生労働省からの「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン」からの参考になりそうな画像をいくつか引用いたします。

上記のエビデンスの争点は

  • 死亡率減少の効果が示されているかどうか
  • 年齢が40歳以上か、もしくは50歳以上か
  • 方法としてはマンモグラフィ、視触診、超音波のいずれか

今回の論文は、上記の赤線で括ってあるUK Age trial の追加報告になります。

 

Effect of mammographic screening from age 40 years on breast cancer mortality (UK Age trial): final results of a randomised, controlled trial.

 Duffy SW, Vulkan D, Cuckle H, et al. Lancet Oncol. 2020 Sep;21(9):1165-1172. doi: 10.1016/S1470-2045(20)30398-3. Epub 2020 Aug 12.

背景:乳がん検診の適切な年齢範囲は依然として議論の余地がある。我々は、40-48歳でのマンモグラフィ検診が乳がん死亡率に及ぼす影響を推定することを目的とした。

方法:英国全土の23の施設に対して無作為化対照試験を行った。39~41歳の女性を、一般診療所によって層別化した個別の無作為化を用いて、1:2の比率で、試験に組み入れた年から48歳に達した暦年までの年1回のマンモグラフィ検査(介入群)、または約50歳で最初のNational Health Service Breast Screening Programme(NHSBSP)のスクリーニングを受けるまでスクリーニングを行わない標準的なケア(対照群)に無作為に割り付けた。介入群の女性は郵便での招待により募集された。対照群の女性はこの研究を知らなかった。主要エンドポイントは、介入期間中に診断された乳がん(乳がんが死因としてコード化されている)による死亡率であり、参加者の最初のNHSBSPスクリーニングの前であった。死亡率効果のタイミングを研究するために、異なる追跡期間における結果を分析した。女性は、無作為化の状態へのコンプライアンスに関係なく一次比較に含まれた(intention-to-treat分析)。本論文では、長期フォローアップ解析について報告する。この試験はISRCTN登録、ISRCTN24647151に登録されている。

結果:1990年10月14日から1997年9月24日までの間に160,921人の女性が募集された。53 883人(33-5%)の女性が介入群に無作為に割り付けられ、106 953人(66-5%)が対照群に割り付けられた。無作為化から2017年2月28日までの間、女性は中央値22-8年(IQR 21-8-24-0)の追跡調査を受けた。追跡期間10年での乳がん死亡率の有意な減少が観察され、介入群の乳がん死亡数83例に対し、対照群の乳がん死亡数は219例であった(相対率[RR] 0-75 [95% CI 0-58-0-97]; p=0-029)。その後も有意な減少は認められず、10年以上の追跡調査(RR 0-98 [0-79-1-22]; p=0-86)で126人対255人の死亡が認められた。

INTERPRETATION:50歳前に40歳または41歳から毎年マンモグラフィを受けることは、乳がん死亡率の相対的な減少と関連していたが、その絶対的な減少は一定であったが、10年後には減衰していた。スクリーニングの下限年齢を50歳から40歳に引き下げることは、乳がん死亡率を減少させる可能性がある。

 

徒然に

 日本では40歳以上の女性が乳がん検診を受けることが可能であるが、英国では50-70歳が3年毎に検診を受けると決められていたようです。

 今回のAge trial の結果により英国も日本と同様に40歳以上からのマンモグラフィへと舵を切っていくのでしょうか。

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