オンラインによるカウンセリングの効果は?

本日も参りまーす!

今日のテーマも昨日に引き続

「精神医学」✕「オンライン診療」

です。

JAMA networkより、

在宅生活を送る高齢者の抑うつ症状に対する臨床家とカウンセラーによるオンライン治療の効果をRCTで検討されました。

Effect of Telehealth Treatment by Lay Counselors vs by Clinicians on Depressive Symptoms Among Older Adults Who Are Homebound

A Randomized Clinical Trial

Namkee G. Choi,et al
JAMA Netw Open. 2020;3(8):e2015648. doi:10.1001/jamanetworkopen.2020.15648

要約

重要性:在宅で低所得の高齢者は、在宅生活を送っていることや、老年精神医療の人材不足により、心理社会的治療へのアクセスが制限されている。

目的:カウンセラーが行う短時間の高齢者サービス統合型ビデオ会議による行動活性化(tele-BA)治療の臨床的有効性を、認定臨床医が行うビデオ会議による問題解決療法(tele-PST)とアテンションコントロール(AC;電話によるサポートコール)と比較して評価すること。

デザイン、設定、および参加者:本試験では、2016年2月15日から2019年4月15日までの間に24項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)スコアが15以上の在宅生活を送っている50歳以上の個人を対象に、同意に先立つ無作為化アプローチを用いた3群無作為化臨床試験を実施した。テレBAおよびテレPST参加者は週5回の治療セッションを受けた。評価はベースライン時と、ベースラインから12、24、36週後に実施した。意図的治療間統計解析は、2020年1月1日から2020年2月15日までに実施した。

介入:Tele-BA参加者には、気分、身体機能、社会的関与を改善するための健康的な行動を強化するための5つのステップが指導された。Tele-PST参加者には、問題解決のための対処スキルのための7つのステップのアプローチが指導された。

主なアウトカムと測定:主要アウトカムは24項目のHAM-Dスコアであった。反応(すなわち、HAMDが50%以上減少)および寛解(すなわち、HAMDが10未満)率と臨床的に意味のある差の効果量が調査された。副次的転帰は、障害、社会的関与と活動頻度、社会的役割への参加に対する満足度であった。

結果:女性193人(69.7%)、黒人83人(30.0%)、ヒスパニック81人(29.2%)、所得35,000ドル以下の255人(92.1%)を含む合計277人が登録された。平均(SD)年齢は67.5歳(8.9歳)であった。このうち、90人がtele-BA群、93人がtele-PST群、94人がAC群に無作為に割り付けられた。AC群の参加者と比較して、Tele-BA群およびTele-PST群の参加者は、HAMDスコアの反応率および寛解率が有意に高く、効果の大きさも中程度から大であった(Tele-BA:生の成長モデル解析 d = 0.62 [95%CI、0.35~0.89];P < 0.001;Tele-PST:生の成長モデル解析 d = 1.00 [95%CI、0.73~1.26];P < 0.001)。HAM-Dスコアの低下にはtele-PSTがtele-BAよりも有意に効果的であったが(t258 = -2.79;P = 0.006)、副次的転帰についてはtele-BAとtele-PSTの間に差はなかった

結論と関連性:この無作為化臨床試験では、一般のカウンセラーによるtele-BAを受けた参加者は、統計的にも臨床的にも意味のある抑うつ症状の変化を示した。精神保健の臨床家が不足していることを考えると、遠隔および一般のカウンセラーが提供するサービスは、十分なサービスを受けていない多くの高齢者のエビデンスに基づいたうつ病治療へのアクセスを改善するのに役立つかもしれない。

本研究のここがすごい

  1. 一般のカウンセラーを用いてる点
  2. 高齢者うつ病には抵抗性のうつ病が多く含まれる

1.一般のカウンセラーを用いてる点

 この研究グループによって、資格を持った臨床家による短時間のビデオ会議による問題解決療法(tele-PST)が、低所得で在宅生活を送るうつ病の高齢者に高い効果があることが明らかとなっていた。

 しかし、みなさんも御存知の通り、老年精神保健の人材がどこの地域でも不足していることを考えると、これらの高齢者のうつ病治療へのアクセスを改善するためのアプローチとして、一般のカウンセラーを配置することが有用であと考えられる 。

 この研究では、専門的なメンタルヘルス研修を受けていない一般のカウンセラーが、行動活性化(BA)というプログラム(複雑な治療モダリティ(認知行動療法など)に比べてアプローチが単純である)を用いてうつ病治療にあたっていましたが上記のような結果が導かれていました。

2.高齢者うつ病には治療抵抗性のうつ病が多く含まれる

 笠原らの報告によると治療抵抗性のうつ病が高齢者にはどのくらいいるかという議論については結論を得ていないが、18%から40%とされていてこのような方々にも治療可能性があるのではないかとされる。

 

此の論文を読んで

 昨日に引き続きオンラインによる可能性を垣間見た論文であった。専門的な訓練を積んだ臨床家による治療ではなくても、一定の効果を得られるとの点には非常に興味深い。

 ライン占いが日本では流行っているが、そこら辺の延長とは言いすぎだろうか。人に自身の悩みを聞いてもらう。心の積荷をおすそ分けするだけで心が軽くなるのだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください